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アルタの前にある新宿の知られざる歴史

筑波大名誉教授、谷川彰英先生の大ヒット作『地名の由来』シリーズ、東京・江戸編から「新宿・馬水槽」の項をご紹介いたします! 

 明治に入っても、東京市民はなおかつ玉川上水の水に頼っていましたが、明治一九年(一八八六)玉川上水がもとでコレラが発生し、九八〇〇名もの命が奪われる事件が起きます。明治政府はこれを機に、近代的な上水道を建設することを決定し、中嶋鋭治博士をヨーロッパ視察に派遣しました。その際、ロンドン水槽協会から寄贈されたのが、この馬水槽です。赤い大理石でつくられ、世界で三個しかないといわれています。

 写真の正面上に出ている水は馬や牛、下は猫や犬、後ろに出ている水は人間が飲むものとされました。

 近代的な浄水場は明治四四年(一九一一)に完成。場所は今の西口の超高層ビル一帯です。東京オリンピックが開催された昭和三九年(一九六四)には、まだ広大な浄水場があったが、翌年東村山に移り、今の西口の開発は始まりました。

 それまでは浄水場入り口にあったこの馬水槽も置き場がなく、昭和四〇年(一九六五)東口の一等地に引っ越してきたのです。

 東口の真ん前で、アルタの向かいです。探してみてはいかがでしょうか?

今は「みんなの泉」と命名されている新宿・馬水槽

 

 

 

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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  • 谷川 彰英
  • 2014.09.26